前回の続きです。ご覧になっていない方はまず割合を得意にする勉強法(前編)を見て下さい。
前回は割合を苦手にしてしまう勉強法・教え方について書きました。
今回はその続きです。
割合を得意にするには、割合の問題に取り組む前の準備が大事です。
では、割合に取り組む前に何をすべきなのかについて見ていきます。
割合が苦手というお子さんがいる方は、つまずく問題がないか確かめてあげましょう。
概要
割合を得意にする勉強方法・教え方(前準備)
割合を得意にするためには、割合の問題に取り組む前にしっかりと準備しておかなければいけないことがあります。それは次の8点です。
1.整数のかけ算・割り算(計算のみ)
2.整数のかけ算(文章題)
3.小数・分数の概念の理解
4.小数・分数のかけ算・割り算(計算のみ)
5.小数・分数のかけ算(文章題)
6.整数÷整数=小数または分数(計算のみ)
7.□を使ったかけ算・割り算(計算のみ)
8.□を使ったかけ算(文章題)
いずれも「計算のみ」はかけ算と割り算、「文章題」はかけ算のみです。
怪しい子が多そうな部分を太字にしてます。特に重要なのは3ですね。
文字だけだとどういう問題のことか分かりづらいので1から順に見ていきます。
整数のかけ算・割り算(計算のみ)
これは次のような問題のことです。
(1)3×2=?
(2)4÷2=?
当たり前ですがこれができないと話にならないので一応書いておきました。
割合を習う段階であれば、ほとんどの方ができると思うので説明は割愛します。
整数のかけ算(文章題)
これは次のような問題のことです。
さとし君のおこづかいは20円です。まるお君のおこづかいは、さとし君の3倍です。まるお君のおこづかいは何円ですか?
ここでのポイントは自分で式を立てられるかどうかです。
かけ算の式の講義は「割合:第1回 かけ算の式を正しく理解しよう」をご覧下さい
もちろん正解は、20×3=60円となります。
小数・分数の概念の理解
これは問題が解けるかどうかというわけではありません。
0.3て何なの?とかってどういうこと?というのが分かっているかということです。
例えば、コップを渡して「くらい水を入れてきて」と言って下さい。半分より少し多めに水をいれてくれば問題ありません。
戸惑っていたり、全然違う量を入れてきた場合は分数の概念が理解できていません。しっかりと教え込みましょう。「ドリルの王様 3年の小数・分数」というドリルが図が豊富で、小数・分数の概念を理解するのにオススメです。
分数の概念の講義は「割合:第2回 分数の概念を理解しよう」をご覧下さい。
分数の概念は割合の概念そのものなので、ここは絶対に外せません。
小数・分数のかけ算・割り算(計算のみ)
これは次のような問題のことです。
(1)3×0.75=?
(2)×=?
(3)0.8÷0.2=?
(4)÷=?
割合の問題では、ほぼ必ず小数・分数が出てきます。
計算ができても苦手だという人は要注意です。
なぜなら、小数・分数が苦手だという人は文章題で小数・分数を使った式を書きたがらないからです。
これでは割合の問題で、文章を式に直すことができなくなります。
苦手でもちゃんと式書くよという方は、とりあえずは問題ありませんがしっかりとコツコツ練習しましょう。
※小数の練習は整数・小数の暗算(計算)プリント、分数の練習は分数の計算プリントで行うこともできます
ちなみに(1)2.25(2)(3)4(4)が正解です。
※教科書によっては、割合を習った後に初めて分数のかけ算・割り算を習うこともあるみたいですね。もし、そのような場合は先取り学習してください。
割合の基本は分数です。分数のかけ算・割り算が分からずに割合の勉強をするなどあり得ません。
小数・分数のかけ算(文章題)
これは次のような問題のことです。
(1)さとし君のおこづかいは20円です。ドクさんのおこづかいは、さとし君の0.25倍です。ドクさんのおこづかいは何円ですか?
(2)まるお君のおこづかいは60円です。さとし君のおこづかいは、まるお君のです。さとし君のおこづかいは何円ですか?
(1)は小数のかけ算です。整数の時と同じく自分で式を立てられるかどうかがポイントです。
20×0.25=5円が正解です。こちらは問題ない方が多いでしょう。
(2)が曲者です。分数は文章が特殊です。
整数・小数・分数でそれぞれ、文章と式を比べて見ましょう。
整数:「○○の3倍」→「○○×3」
小数:「○○の1.2倍」→「○○×1.2」
分数:「○○の」→「○○×」
分数の時だけ「倍」という言葉がありません。
にも関わらず、例えば「○○の」は「○○×」という意味になるのです。「○○の倍」の「倍」を省略して「○○の」と書いているのです。
分数はこのような使い方をすることをしっかりと覚えましょう。
分数かけ算の文章題の講義は「割合:第3回 分数のかけ算の文章題に慣れよう」をご覧下さい。
※本当はこの分数の計算こそが割合の第1歩です。ただ、まだ「割」「%」など出てきてませんので、前準備に入れています。
答えは60×=20円となります。
整数÷整数=小数または分数(計算のみ)
これは次のような問題のことです。
(1)1÷2=?
(2)1÷3=?
(1)は整数÷整数=小数(分数でも答えは出ます)
(2)は整数÷整数=分数
です。
この計算できますか?
もしできない場合は、割合に入る前にしっかりと練習をしましょう。
なぜなら割合ではこういう式が出てくることが非常に多いからです。
もし練習をしっかり積んでおかないと、本当は「1÷3」という式なのに「3÷1」と書いてしまうなど、自分が計算しやすいように式を作ることになってしまいます。
子供は計算できない式は立てません。
ちなみに(1)0.5()(2)が正解です。
□を使った計算(計算のみ)
これは次のような問題のことです。
(1)2×□=6
(2)24×□=12
(3)□÷8=5
(4)4÷□=12
これらは還元算と呼ばれるものですね。解けますか?
整数÷整数=小数、整数÷整数=分数ができない子は、(2)を2、(4)を3と答えてしまうでしょう。
割合の問題では、自分でこの式を作ることになります。
還元算の考え方も大事ですが、整数÷整数=小数、整数÷整数=分数の練習もしっかりとしましょう。
還元算については還元算の解き方をご覧ください。
ちなみに(1)3(2)0.5()(3)40(4)が正解です。
□を使った計算(文章題)
これは次のような問題のことです。
さとし君のおこづかいは20円です。まるお君のおこづかいは、さとし君の□倍です。まるお君のおこづかいを□を使った式で表しなさい。
割合では自分で□を使って式を立てることになります。
ちなみに、整数のかけ算(文章題)で挙げた問題の「3」を「□」に置き換えただけです。
□を使って式を表す難しいという時は、□に適当な数を入れて考えて見ましょう。例えば、さとし君の3倍であれば20×3、さとし君の5倍であれば20×5という式になります。
ですから答えは20×□円となります。
こちらについては□を使ったかけ算の式の立て方をご覧下さい。
まとめ
割合の勉強をするための前準備について書いてきました。
今まで習ってきた計算の総復習といってもいいでしょう。
思い当たる節がある方は、該当する項目をしっかりと練習しましょう。
上記の問題ができれば割合にいっても苦労しないでしょう。
しかし、上に挙げた問題が全てできても、いきなりは割合の問題を解くことはできません。
割合の問題を解くために教えなければならないことがあります。
では、あとは何を教えればいいのか?
割合の勉強法(後編) 教えるべきことに続きます。
コメント
分かりやすくて良いと思います。
コメントありがとうございます!
分かりやすいです。理科のてんびん・ばねを得意にする方法はありますか?
コメントありがとうございます!
理科については、いつかそのうちにと考えてはいますが・・・
まだまだ先になりそうです